高音アリコート(チューニングピンまで長い)
半鉄骨むき出しのピン板
裏V型支柱
外装写真
母体のウイスタリアピアノで1887年製のスタインウェイアップライトピアノを修理いたしました。スタインウェイ社の創業社長ヘンリー・スタインウェイの息子の1人ウイリアム・スタインウェイが活躍していた時代のピアノです。創業からまだ34年しか経っていない時に製作されたピアノです。既にスタインウェイの音色はしていますが、鉄骨は半鉄骨という調律用のチューニングピンが打ち込まれたピン板が表にむき出しの作りで、まだ現代のスタインウェイピアノにつながる設計とは違います。しかし既に高音部に音を伸ばす為のアリコートの手法が用いられています。又、裏の支柱は現代ピアノにつながるスタインウェイ独特のV型の支柱が使われて、支柱の上の幅と下の幅が55mmも違う、強力にピアノの鉄骨や響鳴板が前のめりになった構造です。この構造により既にアップライトピアノでもグランドピアノに近いピアノタッチに仕上がっています。
高音部の総弦長が長く現代のスタインウェイアップライトピアノと同じですが慣れないと調律が難しいピアノです。しかし一度音をキチッと正確に合わせますと音が狂いにくい設計になっています。
130年前も経ったピアノですが、ピアノ曲を弾くとさすがスタインウェイ独特の存在感のある重たい音色で音のボリュームもありますのでビックリします。