これだけインターネットが発達して、世界の情報が行き交う今日、ドイツと日本では調律のやり方が全く違うのには驚かされます。当学院では本場の調律を学べます。
①例えばドイツでは、アップライトピアノの調律もグランドピアノの調律も、調律師は椅子に座って調律を行います。日本では、アップライトピアノの調律もグランドピアノの調律も、調律師は立って調律を行います。理由はハッキリと分かりませんが、日本で一番最初に調律を広めた調律師が立って調律を行った為と推測されます。又は、ヨーロッパ人の方が日本人より腕力が強い人が多い為に、ドイツ人は座って調律をする事を好み、当時の背の低い日本人は、立って全身を使った調律を好んだ為かもしれません。
②ドイツでは、少し長いチューニングハンマーを使い、日本では、短いチューニングハンマーを使います。理由は、腕力の強いドイツ人でも、座って調律をする場合には、少ない力でチューニングハンマーを廻す為に、テコの原理で、長いチューニングハンマーを使った事を選んだのだと推測されます。これも、日本で一番最初に調律を広めた調律師が、短いチューニングハンマーを使用した為としか考えられません。長いチューニングハンマーは力が楽なだけではなく、調律の微調整がより可能になり、繊細な調律に向いています。又、調律の力が少なくなる為に、特に女性の調律師には喜ばれて、当学院では女性の生徒には、特にドイツ式を勧めています。
③ドイツと日本では、調律の時のチューニングハンマーの握り方が全く違います。ドイツ人の調律師は、アップライトピアノの場合はチューニングハンマーを手前で握ります。日本人は、チューニングハンマーの後方に手を廻して握ります。そしてドイツ人の調律師は、肘をピアノ本体につけないで、フリーハンドで調律を行います。日本人の調律師は、肘をピアノ本体につけ調律する人が多いです。グランドピアノの調律の場合、ドイツ人の調律師は、チューニングハンマーを上から握り、肘をピアノ本体につけないでフリーハンドで調律します。日本人の調律師は、チューニングハンマーの下に手を廻して、肘をピアノ本体につけて調律します。これも、初期のピアノ調律師の調律方法が、未だに引き継がれてたものだと推測されます。
④ドイツ人の調律師と日本人の調律師では、チューニングハンマーの握り方が違う以外に、調律時の音を合わせる廻し方や力の入れ方が全く違います。ドイツでは静力学理論にもとづいた廻し方と、力の入れ方をします。理由は、チューニングピンは、調律師が力を入れてチューニングハンマーを廻した場合、チューニングハンマーの強力な力によって、ピン板から上の表に出ている上層部分だけは、廻している方向に捻じれ、調律師が力を抜いた時に、チューニングピンは自力で自然に捻じれが元に戻ります。その結果、微妙に音の狂いが生じると考えられているからです。 当学院では、ドイツ式のチューニングハンマーの握り方、力の入れ方、音の止め方を勉強します。
他にも、チューニングハンマーの選び方、チューニングピンへの差し入れ方、廻し方が違います。又、メカニックの調整作業でも、これだけ情報が発達した今日でも、色々と微妙なデリケートな部分で、ドイツ式と日本式では違いがあります。 当学院では、文章では説明出来ない、本場の調律の、色々なデリケートな微妙な違いを学べます。